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ずっと傍に……
第29章 きっかけ…
―…
――…
―――…
「…た………なた………陽葵」
誰かに呼ばれているような気がして瞳を開くと、心配そうにしている友也と蒼がいた。
「蒼…どうして…」
「友也が心配して連絡してきた…それより大丈夫なのか…」
蒼は額に手を置きながら聞いてくる。
大丈夫かと聞かれたら…正直、さっきよりきつい。
フワフワした感じと、身体が沈み込む感じに瞳を閉じたくなる。
そして、蒼が来てくれたと分かると、もう我慢しなくていいと思えて弱気になる。
「…ごめっ…ん…。大丈夫じゃ…ないかも…きつい…」
「…ママ…」
友也が私の手をギュッと握りしめてポロポロと泣いていた。
「友也…大丈夫よ…蒼お兄ちゃんに…電話できたんだ…えらいね…」
空いている手で友也の頭を撫でながら褒めると、抱き付いてくる友也を抱きしめていた。
いつも私より体温が高い友也の体温が感じられない程、熱が上がっていた。
それでも、私にかかる友也の重さだけで十分だった。
ここに友也はいる、と分かり安心する。