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ずっと傍に……
第29章 きっかけ…
―…
――…
―――…
「ママ!!ママ!!」
瞳を開くと、涙を流しながら必死に私を呼ぶ友也がいた。
車に乗せられているようで、友也は座席と座席の間に座り込み必死に私の名前を呼んでいた。
「…友…也…ごめんね…」
「ママ??痛いの?苦しいの?」
いつの間にか流していた私の涙を拭いながら懸命に言葉にする。
「陽葵…気がついた?もう少しで時田病院だから…友也、ママの手を握っていてやれよ」
「うん。」
蒼の言葉に力強く頷く友也を心強いと思いながら、まだ5歳なのに全てを我慢しているようで申し訳ないと思う。
「友也…ありがとうね…ママ…大丈夫だから…だから友也…泣かないでね」
今度は私が友也の涙を拭い、気だるい身体を起こして背もたれに身体を預けた。
「おいで…友也」
友也に手を差し伸べると、友也は一瞬躊躇しながらも私の手を取り、私は友也をギュっと抱きしめた。
それだけで安心する。
身体はきついけど、心は落ち着いた。