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ずっと傍に……
第30章 助けて…
「そう思われているのも分かってたよ…そう思うのも普通だと思う。私のね…私の世界の全てが友紀也だった…友紀也のいない人生なんて生きていく意味なんてなかった…だから後を追おうとした…火葬場から消えたのも死に場所を求めてた。次の日にパパたちが会いに来てくれて帰ってもらった後も、あのマンションから飛び降りようともした…」
当時のことを思い出しながら口にすると、パパは震えている手を更に握り締めて白くなっていた。
その手に触れると、力が抜けるのが分かった。
「ママが毎日来てくれても、千佳や咲が心配して来てくれても、その全てがうっとうしくて嫌だった…傷つけ泣かせても思いやるほどの余裕がなかった。そんな中で、唯一苦痛じゃなかったのが友也の父親…彼がいたから、死ねなかった…死ぬことを選ばなかった。」
「友也の父親のおかげ・・・なのか?陽葵が、今…ここにいるのは」
搾り出すパパの言葉に、私の心が熱くジーンとくる。
娘が死を選ぼうとしていたと知った今、どんなに苦しく思っているのか、自分が母親になり分かるようになった。