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ずっと傍に……
第30章 助けて…
「友也は父親がいない事で寂しいとか言わない…父親が誰かなんてことも聞かないの…それを口にすると私が悲しむって知ってるから…だから思っていても口には出さない…こんな私のところに生まれてきて…友也は幸せじゃない…他のママの所に生まれていたら友也はもっと幸せになれた…私が1人で生きていくには辛すぎたから、寂しかったから…私のエゴで友也を不幸にしてる…」
「陽葵…」
初めて見せる弱さに、パパはいつものように抱きしめてくれた。
パパに抱きしめられると安心する。
それはいくつになっても変わらないかった。
「そうじゃない…友也は決して不幸でじゃない。それは違うよ。言いたいことも言わない。泣き事も言わない。それはママの事が大好きだから…大好きだから困らせたくないと思う子供心…それは大人でも子供でも一緒だ…。それに、陽葵も蒼も…同じような事をしていたよ。」
その言葉に記憶を辿る。
だけど、手繰り寄せる記憶はなかった。
蒼を見ると、蒼も分からない顔をしていた。