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籠鳥 ~溺愛~
第3章
「どうしてですか?」
「作らないよう命令したからだ」
当たり前のようにそう返した鏡哉に、高柳は呆れ返る。
「社長、いくら雇用主だからと言って、それはなんでも横暴なのではありませんか?」
「どうしてだ? 美冬は私のものなのに」
「………」
いや、単なる家政婦だろうが――と高柳は心の中で思ったが言わないことにした。
「ま、異性との付き合いなんてダメだと言われたら余計興味がでちゃうものですからね。美冬ちゃんも年頃だし、社長。うかうかしていたらどこの馬の骨ともわからない子供にもっていかれるかもしれませんよ」
「……お前、減俸にされたいのか?」
「まさか」
高柳は鏡哉の脅しにびくともせずニコリと笑って見せる。
一方の鏡哉は高柳のその忠告に嫌な予感がし始めた。
「高柳! 今日は超特急で仕事を終わらせるぞ」
「かしこまりました。すぐご用意いたします」
そう言って畏まって社長室から出た高柳は、にやりと楽しそうにほくそ笑んだ。
キーンコーンカーンコーン。
就業のチャイムが鳴り、昇降口からは一斉に学生たちがはき出されてくる。
鏡哉は校門に車を止めると、車内から美冬が出てこないかとメガネを掛け直して目を凝らした。
美冬は小さいから見落としてしまうかもしれないと気を付けていたが、すぐに昇降口を出てくるところを見つけられた。
車のドアを開け外に出る。
こちらに歩いてくる美冬に声をかけようと口を開いた時――。
「鈴木さん、一緒に帰っちゃ駄目かな?」
横から美冬に声を掛けた男子生徒が目に入った。
声を掛けられた美冬は遠目にもわかる程大きな瞳を見開いていた。
「え……倉木先輩……あの?」
明らかに美冬は困惑しているように見えた。
「いいじゃん、一緒に帰るくらい、行こう」
そういった倉木という生徒は美冬の腕を取り、鏡哉の待っている方向へ歩き出した。
「は、はあ……」
美冬はその手を振りほどくこともなく仕方ないという感じでついていく。
(何やってるんだ、あいつは――)
鏡哉はいらっとして二人に近づいた。
周りの生徒たちが鏡哉を見ていたが、一向に気にならなかった。
「美冬」
「鏡哉さんっ!?」
いきなり目の前に現れた鏡哉に、美冬はびっくりした顔で相対する。