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籠鳥 ~溺愛~
第6章
年相応のピンク色の可愛らしいブラを外すと、上からネグリジェを着させていく。
スカートも脱がせ着替えさせ終わると、ベッドの中に横たえて上掛けをかぶせてやった。
当たり前だがこんな早い時間から医者が手配できるはずもなく、鏡哉は困って取りあえずベッドに腰を掛けて、美冬の顔を覗き込んだ。
まだ意識が戻らないらしく、寝息も細い。
(どうして眠れなかったのだろう?)
蒼白な美冬の頬をさわりと撫でる。
まるで生気のないその様子に、胸がぐっと詰まった。
(……代われるなら変わってやりたい)
愛おしいこの子の苦しんでいる姿は、出会ったころにいやというほど見た――もう見たくなかった。
わざとゆっくり時間が過ぎていくように感じるほど、時間がたつのが遅かった。
8時になって携帯電話が鳴り、高柳がもうすぐで医者とそちらに着くという連絡を貰い、ようやく鏡哉は安堵の息を吐いた。
「おそらく、睡眠不足からくる過労でしょうね。扁桃腺やリンパも腫れていないし、風邪やインフルエンザではないと思います。熱はどちらかといえば、知恵熱? のようなものですね。起きたら水分を取らせてくださいね。」
朝早くから呼び出された女医は会社の産業医だったが、そう診断すると少量の睡眠薬の処方箋を置いて帰って行った。
「知恵熱って……あの子供がよくなるやつですよね」
部屋に残っている高柳が尋ねる。
「ああ、美冬はまだまだ子供なんだな」
「そんなことは、ないと思いますが――」
そう呟いた高柳は、なんだか可哀想なものを見るような目で美冬を見つめていた。
「なんだ?」
「いえ――社長、あまり美冬ちゃんをいじめてはいけませんよ」
呆れたようにそう忠告してくる高柳に、鏡哉はむっとする。
「美冬が倒れたのは、私のせいだと言うのか?」
「それ以外思い当りません」
普段からはっきりものを言う高柳は、鏡哉の目を見てはっきりと断言した。
「……私の何がいけない?」
そう真面目に問い返した鏡哉に高柳はわざとらしく大きなため息をついた。
「そんなこと、自分で考えてください。では私は会社に戻りますので。社長は今日は一日休暇にしておきますので、十分看病してあげて下さい」
「おい、こら高柳――」
呼び止めるの声を無視して、高柳は部屋を出て行った。