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婚約者の帰還(くすくす姫後日談・その1)
第3章 土産とご褒美
「賭けで勝ったからだとしても、おめでとうって言われるの、嬉しいわね?」

スグリ姫は、贈り物を持っていない方の手で、サクナの皿とフォークを持っていない方の手を握りました。

「そうだな。」
サクナは前を向いたまま、相変わらず不機嫌そうでしたが、姫が握った手を、指を絡めて繋ぎなおしました。

「えへへー。…あ、そうだ。サクナが果物で何か作ってるときって、どんな風なの?」
姫は、先程、厨房の男が「いいもん見せてもらった」と言ったことが、気になっておりました。
彼は確か、厨房の調理担当の、一番上の使用人です。
いつも無口に何かしていて、笑っているのも、口を開いたのを見たのも、初めてでした。

興味津々の姫をちらっと見ると、サクナは眉をひそめました。
「どんなって…普通だ」
「普通…」

普通にしては、さっきの厨房での反応は、大げさ過ぎます。
(きっと、なんかすごいんだろうなあ…果物細工も、すごいもんねー。作ってるとこ、いつか見せて貰おう)
二人は仲良く手を繋いで、姫の部屋を目指しました。




姫の部屋に着くとサクナは埃っぽい服を脱ぎ、湯を浴びて小ざっぱりしました。
そして、先程姫に質問された、布で包まれた例の包みを取り出しました。

「これ、なあに?」
「イチジクだ」
「…イチジク?」
「ああ。ここらじゃ珍しいだろ?」
話しながら包みをあけると、蓋をされた瓶が現れました。

「瓶詰め?生じゃないのね。初めて見た」
「プリザーブだ、生を丸ごと煮てある。」
サクナの手で皿の上にひとつ取り出されたものを見て、姫は目を輝かせました。
「わあ…綺麗…」
それは、自然のままの色と形を損なわないように、特別な方法で、時間をかけて作られたものでした。

「…このまま飾っておきたいくらいねー…」
そう言って賞賛の溜息をつく姫に、サクナは決まり悪そうに言いました。
「お褒めの言葉は有り難えが、そりゃあ幾ら何でも無理だ。それに、お前に食わせたくて作った物だ。食ってみろ」
姫が、うん、と頷くと、サクナがナイフでイチジクを二つに切ってくれました。
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