この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
婚約者の帰還(くすくす姫後日談・その1)
第2章 厨房の勝利者
「へ?」

スグリ姫が言われたことを飲み込めないで居ると、女は呆れたように周りの男たちを見回しました。

「あれですよ、あれ。『姫様のお相手が今年中に見つかるか』ってやつですよ」
「あー、あれね………ええええええー!!!」
お祭り好きのこの国の人々にとって、普段から親しみを感じている王室絡みの賭け事は、楽しみごとでありました。
スグリ姫が生まれる時の「王子か姫か」で人々が余りにも加熱しすぎたため、取締りが行われ、賭けが公に行われることは、なくなりました。しかし、下々のささやかな楽しみとしては、あちこちでこっそり行われていたのです。

「いやあ、例のでっけえ果物…『スイカ』でしたか?あの時の仲睦まじい様子を拝見して、ピンと来ちまって」
「…睦まじかったっけ?」
贈り物を渡してくれた男が決まり悪げに頭をかくのを見て、姫は首を傾げ、サクナは眉をひそめました。

「で、その後この兄ちゃ…婚約者様が厨房貸してくれっていらっしゃった、あれが決め手になりやして…厨房全員『今年中に決まる』に、有り金全部、賭けたんでさあ」
「有り金、ぜんぶ……大胆ね、みんな…」
それを聞いた姫は驚きで口が半開きになり、サクナはあらぬ方を向きました。

「…あ。『厨房貸してくれ』って、もしかして、煮リンゴ?」
姫がふと思い出して聞くと、さっきの男が頷きました。
「へい。お作りになってる姿を見て、こりゃあきっと姫様が召し上がるんだな、と」
「作ってる姿?」
「…ええ。」
するとそこで、今まで口を開かずに居た男がぽつりと言いました。
「ありゃあ…ああいうのが、神業ってんですかね」
「…かみわざ?」
「ええ。いいもん見せてもらいやした」
「おい。」

姫がぽかんとしていると、サクナにちょんちょん、と突かれました。
「…そろそろ行くぞ。」
「あ、うん、そうね!」
姫は不機嫌そうな婚約者に応えて、蕩けるように笑いました。
「そういうことなら、これ、ありがたく使わせて頂くわね。奥様にも、すごーく喜んでたって、お伝えしてね!」
そう言って姫は厨房を見回して、見るものが思わず釣られてにこにこしてしまいそうな、輝く笑顔を見せました。

「みんな、ありがとー!また来まーす!!」
厨房の人々に満面のにこにこで見送られ、姫とサクナは、厨房を出ました。
/14ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ