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会員制秘密趣向倶楽部 ~お好きなプレイを~ 
第4章  フィギュアプレイ



「芹那ちゃん、じゃあよろしくね」
 社長の涼子さんに肩を叩かれ、私は少し首を傾げた。
「初めてのお客さんですか?」
「常連様からの、ご紹介なの。大丈夫。身元はしっかりした方だから。長い髪の、Gカップの若い子をご希望なの」
 確かに私は長い髪でGカップ。大きい方がいいという指名はあっても、カップまで指定されたのは初めて。
「じゃあ、行ってきます」
 そう言うしかない私は、支度をしてから足早に店を出た。
 待ち合わせが喫茶店なんて珍しい。殆どが部屋かラブホに呼んで、すぐセックスを始めるのに。
 考えているうちに指定の喫茶店に着き、中に入った。
 名前は教えられないけど、四十代とだけは聞いている。
 後は依頼主に応じて、呼び方をかえるだけ。お兄ちゃんだったりオジサマだったりと、依頼主の好みを聞いてから。
 目印は、ジーンズに白のポロシャツ。テーブルにハンカチを置くというのも聞いていた。
 席へ案内しようとするウエイトレスを待ち合わせだと断り、店内をゆっくり歩いてみる。
 いた。
 一番奥の席。指定通りの格好で、テーブルにハンカチ。私は、彼を見つめながら近付いて行く。彼も私に気付いたようだ。
「芹那ですが……」
「あっ。座って……」
 彼に言われて、少し戸惑った。
 普通なら、すぐ移動するだろう。それに、想像より若い。三十代半ばに見える。でも着ているものは、高級ブランドじゃない。こんな依頼主は初めて。
「あの……。どこか、行かないんですか?」
「そ、そうだね。初めてだから、落ち着かなくて。出ようか」
 喫茶店を出るとタクシーに乗って着いたのは、見るからに高級マンションの車寄せ。
 悪いけど、この服装でここの住人だとは思い難い。でも、涼子さんが認めた人なら間違いは無いだろう。
「どうぞ……」
 カードを使って自動ドアを開けた彼と一緒に、中に入った。
 エレベーターの横には階数ボタンもあるのに、彼は横に付いている物にもカードを読み込ませる。
「十一階は、俺専用だから。こうしないと、十一階には行かれないんだ」
 と言うことは、十一階全てが彼の部屋? 私は驚きながらエレベーターに乗り込み、十一階へ行く。

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