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会員制秘密趣向倶楽部 ~お好きなプレイを~ 
第2章  着衣メイド



 タワーマンションのエントランスで、部屋番号を入力する。
 いかにも会社の関係者らしい、シンプルなスーツ姿に鞄とファイル。
 これなら大会社の社長の部屋に行っても、週刊誌に撮られることも無い。
 でもそれも、私にとってのスリルでもある。
「いらっしゃい」
 ここでの遣り取りはそれだけ。
 私も慣れていて、すぐにロックの解かれた自動ドアを入った。
 エレベーターで最上階の部屋へ。
 ドアの鍵も開いていて、一応ノックをしてから入った。
 ドアが閉まると、カチリと音がする。自動ロックが掛かる仕組み。それを確認すると、私はオシゴトの表情に変わる。
「オジサマぁ。呼んでくれてありがとう」
「梨香ちゃん、待ってたよ」
 五十歳を過ぎたばかりの依頼人が、バスローブ姿で抱きしめてきた。
 詳しい理由は解らないが、父親から会社を継いだばかりらしい。この若さで大会社を動かしているなんて、普段は切れ者なのだろう。
 でも、私といる時は別。
 普段切れ者でいなくてはいけない分、秘密でストレスを発散したいのは理解出来る。
「梨香ちゃん、早く着替えて」
 彼が甘えるように言う。
 それに笑顔を見せてから、私は広いバスルームの脱衣所へ入った。
 シャワーは店で浴びて来ている。堅苦しいスーツを脱ぎ、用意してあるミニのメイド服になる。白い二―ソックスにもレースが付いていて可愛い。
 急いで彼の元へ戻った。
「梨香ちゃん、今日も可愛いね」
 彼の後に付いて、寝室へと行く。
 寝室へ入った途端、彼の表情が変わる。かれも多分、プレイモード。
「梨香っ」
 立ったまま後ろから抱き着き、彼はIカップの胸を揉み始める。
「あんっ、ヤめてくださいっ」
 私はそんな事を思っていなくても、これがいつものプレイ。
「ん? いいだろう? 誰もいないんだから」
「だってぇっ、ご主人様ぁ」
 プレイが始まったら「ご主人様」と呼んで欲しいと言ったのは、初めての依頼から。
 それも、彼の趣向の一つらしい。
 普段社長室にいる彼には、あまり女性と接点がない。お堅い秘書くらいだ。それに、こんなプレイの出来る店に通うのもスクープにされるかもしれない。

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