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王家の婚礼(くすくす姫後日談・その2)
第5章 朔

「話がある。この婚礼が終わったら、話そうと思っていた事だ。」
姫は、うん、と頷いて、婚約者に体を擦り寄せました。

「俺は、近々帰る。だが、一年でも一二を争う忙しい時期だ。お前は連れて行けねぇ」

「…うん。」

「時期が終わったら、すぐ迎えに来る。婚礼はまだ先だが、嫁に来る前に、どんなとこか一度見といて貰いてぇからな」

「…ん。待ってる」

そこまでで話が止まったので、姫はサクナを見上げました。
「…どうしたの?」
「いや…えらく簡単に納得したな、と」
前に不在にした時の事を考えて、姫の反応を窺いながら話をしたのに、あっけなく頷いたので拍子抜けしたのでしょう。
口籠もるサクナを見て、姫はふふっと笑いました。

「昨日と今日で、思ったの。お隣から嫁ぐレンブでさえ、今日まで色々あったんだもの。私なんか、もっと覚悟しなきゃ、って。」
昨日の女性ばかりの席で、レンブ姫はここだけの話、ということで、婚礼までの苦労話をしたのです。
それに対して、周りの既婚の女達や、婚約中の女達も、自分の経験を口々に色々話してくれました。
話の中には先程姫がさせて欲しいと頼んだような、殿方との秘め事の話のあれこれも有ったのですが、多くは自慢と愚痴と惚気の混じった、婚約期間や結婚生活の経験談でした。
何の障害も無く穏やかに進んだように見える婚礼でさえも、当人たちにとっては色々な事があるのだと、スグリ姫はその時はっきり知ったのです。

「…こんなに早く覚悟が必要になるとは、思わなかったけど」
「そうか…」
擦り寄る姫の頭を撫でて、サクナはぼんやり呟きました。

サクナはサクナで、昨日と今日の殿方ばかりの席に於いて、王や王太子や大臣から、色々な話をされておりました。特に大臣からは、姫の血縁でない立場であることで却って言いやすかったのか、今後のことについて、それなりに励ましも貰いましたし、釘を差されても居りました。
その結論が、今夜のこの話でした。
本当は、姫をすぐにでも連れて行こうと思っておりました。
しかし、連れて行っても淋しい思いをさせない保証はありません。
先々姫を嫁に迎えれば、この国の姫の周りの人々から、姫を奪うことになるのです。
姫の為にも、周囲の為にも、姫に皆に囲まれて賑やかに過ごす時間を持たせても良いのではないかと、痛い所を指摘されても居たのです。
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