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僕の彩芽
第11章 十一
それに、また来るとも思わなかった。正直、今日は色々ありすぎて、龍生さんの事を忘れていた。
「で、その後どうなったの?」
「それは……結果、豪の嘘だと分かって、豪は秋人さんからこっぴどく叱られました」
「告白の返事は?」
「それは……」
ごくっと唾を飲みながら、グラスに氷を入れる。
……あの後、秋人さんは豪の体を突き離し、冷淡に告げた。
「俺に男と付き合う趣味はない。って……」
「秋人さんが豪君にそう言ったの?」
「はい……」
「そっか。豪君、傷付いただろうね」
ええ、そりゃもう。見るからに豪は、秋人さんからフラれてショックを受けていた。まるで戦場で生き絶えた落ち武者、屍の様に。あの後ずっと瞳から生気を感じなかった。
「普段の豪みたいに、元気出してくれると良いんですけど……」
そう呟きながら、もう一塊氷を入れるとカランと音が鳴る。
「彩芽ちゃん、本当に秋人さんから逃げなくて良い?」
唐突に質問されると、一瞬動きを止めた。