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僕の彩芽
第14章 十四

 そしてキッチンで秋人さんが料理を始めると、後ろから抱き付いたままその光景を見る。

 ……何か忘れているような気がする……。何だっけ?

 ……ま、良いか。

「秋人さん」

「何だ?」

「私働いちゃダメですか?」

「……は?」

 秋人さんの顔を見上げて聞くと、そんな私を不機嫌そうに秋人さんがぎろりと冷たく睨んだ。

「エルでじゃないですよ……!普通に、仕事がしたいんです!」

「……どうしてだ?マンションにこもっているのが嫌か?」

「それもありますけど……。外に出たいんです!私も社会に出て、秋人さんみたいな立派な社会人になりたいんです!」

「俺が立派……?彩芽には、立派な社会人に見えるのか?」

「勿論ですよ!」

「風俗のオーナーが?」

「風俗だって立派な仕事です!仕事しにいく秋人さんは、凄くカッコいいです!」

 秋人さんに抱き付いたまま、キラキラと目を輝かせる。すると、ふと唇へ口付けられた。

「……ありがとう」

 顔を話して呟く秋人さんは、凄く嬉しそう。

「分かった。働いて良い。でも条件がある」

「条件……?」

「夜の仕事はダメだ。クラブや風俗は絶対ダメだ。それ以外の仕事だったら何でも良い」

「ありがとうございます!秋人さん!」

「俺は彩芽が好きだ。だから応援するよ」

 喜ぶ私を見て、ふっと優しく微笑む。そして秋人さんは私の頭をよしよしと撫でた。






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