この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
SOS
第1章 邂逅と訣別

「……え? あの」

「ふっ、何か勘違いしているようだが……俺は残念ながら泥棒ではない」

確かに最初は泥棒だと思った。が、この目の前にいる男のあまりに浮世離れした姿に、男が泥棒だとは考えにくかった。

「じゃあ一体あなたは────」



「悪魔────とでも言っておこうか」




「悪魔……?」




「あぁ、人間の不幸が大好物の……悪魔さ」


自らを悪魔と称する男は、何を思ったのかゆっくりとした歩みで木崎に近付いてきた。
木崎は男から距離を取ろうと、ずるずると後退する。

「あ、悪魔が俺に何の用……ですか?」

これ以上不幸にされるなんて冗談じゃない。どうせなら天使が来てくれたらよかったのに、と木崎は思った。

「……ふっ、天使ではなくて悪かったな」

「……っ!!」

心が読まれている。木崎はあまりの衝撃に、金魚のように口をパクパクさせるだけだった。

「悪いな……。悪魔には人間の心が透けて見えるのさ」

いつの間にか距離を詰められ、木崎は壁に追いやられていた。

「何の用か、と聞いたな」

「は、はい……」

悪魔の黒髪の隙間から覗く赤眼が、妖しく光る。

「俺はお前の願いを叶えに来たんだ」

「願い?」

あぁ、と悪魔は低い声で呟く。

「お前はもうすぐ死ぬだろう?」

医師から受けた余命宣告────木崎は苦い顔で頷いた。

「しかしお前には、死ぬまでにどうしても叶えたい願望がある。違うか?」

「……ある。あります」




「お前のその願いを、俺が叶えてやる」





「……うそだ」

「嘘ではない」

木崎はそれまで直視していなかった悪魔の顔を見上げ、目を合わせてはっきりと告げた。

「だってさっき、悪魔は人間の不幸が大好物だって……言ってましたよね?

なのに、願いを叶えてやる、なんて……それこそ天使がやることですよ……」

木崎の返答を聞いた悪魔は、満足げに口角を上げた。

「なんだお前……意外と頭が回るじゃないか」
/33ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ