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痴漢野郎 スペシャル
第3章 濡れた仔犬ちゃん
それどころか、俺は以前、彼女に暗示をかけていた。
「君は痴漢しやすい」と。

こうして、またもや電車内で痴漢に遭ってしまった事で、
きっと、彼女はその言葉を思い出したに違いあるまい。

そのショックから動揺してしまい、
今は、身も心も恐怖で固まってしまっていたはずであろう。

さらに、今の彼女には、攻めた服装をしていると言う引け目もあった。

本来、真面目な女学生であった彼女としては、
他人からは、やさぐれた娘には思われたくないのである。

だから、今、騒いで、目立ったりはしたくない、とも考えられるのだった。

つまり、今の彼女は、運悪く痴漢されても、
されるがままでやり過ごすしかなかった、と言う訳なのである。

なおかつ、こうして痴漢してきた相手が、
まさか、前にも自分を痴漢した相手だったとは、
想像もしてなかった事であろう。

俺は、その真実を彼女に告げて、
彼女をもっと驚かせたい衝動にも駆られたが、
すんでのところでとどまった。

無理にそこまでやらなくても、
普通に痴漢さえできれば、それで良かったからである。
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