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ビスカスくんの下ネタ日記(くすくす姫後日談サイドストーリー)
第8章 ビスカスくんの一番長い日
「あははー…一生つっても…死んじまったら、一生ってなぁお仕舞いじゃねーですかねー…」
お嬢様ぁ賢い癖に、時々辻褄の合わねー事言うね?笑っちまうね。

「誰が、『お前の』一生だなんて言ったのよ。お前の一生なんかの訳無いじゃない。『私の』一生よ」
お嬢様はそう言うと、俺のおでこに人差し指を突き立てた。
「良いこと?そんな事になったら、一生家に籠もって、お前を恨み続けてやるから」
「え…籠もるんですかい」
「ええ。」
「ご結婚は、どーすんですか」
「当然無理ね。」
「ちょ…お家断絶の、危機じゃねーですか…」
「それが、どうかして?お前関係無いじゃない、死んでるんでしょ」
クッソ酷え。
頭ん中のお嬢様暴虐リストにのてっぺんに、新たな一ページが付け加わった。

「…最っ悪の、八つ当たりですねー…」
「そうね。お前は口さがない連中に、家を潰した元凶として、後々まで末永く語り継がれたら良いんだわ…それが嫌なら、死ぬのはお止め。」
「…お嬢様?」
「何よ。」
さっきから、ぼたぼた滴が垂れて来んですが。

「…泣かねーで下せぇよ…」
「五月蝿いわね。悔し泣きよ」
あー…お嬢様にゃあ申し訳ねーが、泣いてもすげぇ綺麗だわ。
泣いてても、鼻ぁすすっても、文句無しに綺麗な、俺のお嬢様。

「お嬢様?」
「何よ」
俺ぁお嬢様に言い残したい事を、この際言っとく事にした。

「…お嬢様の中にゃあずーっと、小せぇ女の子が、住んでらっしゃるんですよ…」
せっかく難無く届くから、手ぇ伸ばしてお嬢様の頭を撫でてみる。懐かしいねー。もしかして、ガキの頃以来か?

「…俺ぁその子が泣かねー様に、淋しくねぇ様に、癇癪を起こしてもその後ぁ笑ってくれる様にってだけを願って、その為だけに、お仕えして来やした」
調子に乗って涙を拭ってやろうとしたら、べしっと鋭く手で払われた。頭ぁ撫でさせてくれたのに、酷ぇな、おい。
お嬢様…もしかして、もっのすっげぇ怒ってるねwww

「だから、一生お嬢様の傍に居る御方を選ぶ時は、お嬢様の綺麗なとこや、賢いとこや、強ぇとこだけ好いてる御方じゃなくて…その小せぇ女の子を、ちゃんと甘やかして守ってやって、一生大事にして下さる方を、選んで下せえ。本当は、俺が見定めて差し上げるつもりだったんですが…」
「嫌よ。」
「……は?」
俺の遺言になるかも知れねぇ言葉は、お嬢様にあっさり叩っ切られた。
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