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ビスカスくんの下ネタ日記(くすくす姫後日談サイドストーリー)
第8章 ビスカスくんの一番長い日
人の今際の際の遺言になるかも知れねえ言葉を、「嫌よ」であっさり叩っ切る女。
そんな事出来る奴が、他に居るか?
冷酷無比。
さすが俺の自慢のお嬢様だね…って、感心してる場合じゃねーよ。

「えっと…?これ、一応、遺言なんですが…?」
「遺言だろうが脅迫だろうが関係無いわ。そんな面倒な事を、この私にさせようって言うの?絶対嫌よ。…そんなの、お前で良いじゃない」
「へ?」
「お前が分かってる事を分かる殿方を探すなんて面倒臭い事、嫌よ。お前だって、一応殿方の端くれなんでしょう?お前が居たら、お前で用が足りるじゃないの」
「…えーと…?」
今一つ、言われた事が理解出来ねえ。
そんな俺にお嬢様は、蔑むような視線を向けた。

「お前にも分かる様に、特別にもう一度、言ってあげるわ。死ぬのは止めなさい、ビスカス。その代わり、一生私の傍に居なさい」

…おい待て。
それは、「はい止めます」っつって止められる事と、「はいそうします」っつって出来る様な事なのか?!
不可能を可能にしろってか?!暴虐の極みだ。
いくらお嬢様のご命令でも、無理です無理。
前半も、後半も、どっちも無理だろ!!
…こりゃ、夢だな。
現実にしちゃあ、酷すぎるわ。
話が破綻しているって奴だよなwww

「や、あの、たとえ、死なねーでもですね?一生お傍に居る訳にゃあ…ご夫君様が、お嫌でしょうし」
サクナ様みてーに、ガキの頃からよーく知ってる奴ならともかく。
普通の男だったら、得体の知れねえ奴(俺だ)が一生付いて来る妻君なんざ、お断りだろうよ。
そう思ってたら、お嬢様が呆れ果てた様に言った。

「お前…馬鹿なの?」
「はい?」
「それをお前がやったら良いじゃない、って言ってるのよ」
「それ?」
お嬢様は、あからさまにイラッとなさった。

「お前が、私の、『ご夫君』とやらを、やれば良いのよ」
「……はあ?」
…お嬢様?
お嬢様こそ、馬鹿なんですかい?

「いや、それは…」
「何よ。何か不足が有るって言うの?」
お嬢様は、今度ぁイライラッとなさった。怖っ。

「不足は無ぇです!有る訳無ぇじゃねーですか!不足は無ぇですが、足りすぎて釣りが間に合わねーっつうか、足りすぎの余り破裂っつうか…とにかく無理です!無理無理無理!絶対むっ」
む、の後、り、と言う前に。
人の言葉をぶった切る暴君が、問答無用で、唇に唇をぶっつけて来やがった。
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