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感情のない世界 // 更新される景色
第2章 は



「何から消そうか。話してみて」


「…君が大学に行っている間、いつもの公園でベンチに座っていたら、知らない女性たちからお食事どうですかと誘われたよ」


「えっ、それ本当? 許せない!」


「もちろん断ったから許してよ」


「あなたは悪くないのよ、でも…っ、うう」


「消してもいいかい?」


「ええ、忘れていいわ」



優先順位の低そうなことを君に話して、君からの承認をひとつひとつ取っていく。



「君の帰りを待ちながら作った、チーズケーキのことだけど…」


「それは忘れたらダメ。すごく嬉しかったから」


「わかった。…なら、同じ日に家にムカデが出てきたことは?」


「きゃあああー! 何それ!? どこ? どの部屋?」


「退治しておいたから平気さ」



デリートには時間がかかる。


でも僕はこの時間が苦痛でなかった。


向かい合う君も、ころころと表情を変えながら楽しそうに聞いていた。


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