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愛おしいキミに極甘な林檎を
第37章 幸せな日々とその奇跡まで
「とても痛かった場所ですけど、ソラ先輩の手が触れると心が落ち着くようになったんです。だからここは特別なんです」
過去に何度も叩かれて痛くて泣いた場所。
忘れられない痛みだけどそこから救い出してくれたのは今私の目の前にいる人だった。
この痛みが和らいだように、ソラ先輩の右手の痺れも和らいで欲しい……。
でももう痛くないはずなのにどうしてなのか涙が浮かんで目尻から落ちる。
「泣かないでよ。痺れはそのうち落ち着くから。……それともお爺さんのことをまだ気にしてるの?」
「ちっ、違います」
「心配しなくても大丈夫だよ。……奇跡は必ず起こると思うから」
「奇跡…ですか……」
柔らかな笑みを向けられてから目を閉じた私は頬に触れる優しい温かさを感じた。