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愛おしいキミに極甘な林檎を
第50章 pallidus memoriae*儚い恋と永久の愛


近くを走って行った車のせいで水たまりの水が飛んで足へと勢いよくかかった。


スカートはまだしもストッキングとパンプスの中まで一瞬でずぶ濡れになる。



「ふっ、大丈夫?相変わらずだな。風子といると飽きないよ」


「もう、心配しながら笑わないでくださいよ。……ふふふっ、あははっ。でもこれはないですよね」


一人では怒っていたこともこの人の前では笑えてくる。付き合っていた頃もそうだった。




「時間があるならお茶でもしない?濡れた足を乾かすついでに」


このまま歩くのも冷たくて嫌な気がしたから私は縦に頷く。


ホテルやカラオケ、二人っきりになる場所に行くわけではないから夫も許してくれると思った。



喫茶店に着いてから温かいミルクティーを飲み、暖房の効いた温かい空間で足を乾かす。


お茶の味をゆっくりと楽しめる日もなかったから至福の時だ。


「有休を取るなんて珍しいですね。何か用事があったんですか?」


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