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愛おしいキミに極甘な林檎を
第50章 pallidus memoriae*儚い恋と永久の愛

今はもう他人なのにその出来事に妙に反応してしまう。
片手で持っていたカップにもう片方の手を添えてから少しだけミルクティーを飲んで口を開く。
「告白されたんですか?」
「好きだから付き合ってくれって言われたよ。その後、何も言ってないのに触れられそうになった」
「積極的な女の人だったんですね。良かったじゃないですか。そう言う時がチャンスです」
応援しているように言うと塑羅緒さんは眉をひそめて私を見てくる。
「付き合い始めた時に言ったよね?他の男と一緒にするなって」
「えっ……?」
「女なら誰でもいいわけじゃないんだ。しかも言い寄ってきた女の手が近づいてくるとどうも受け入れる気になれなくてさ。
触るなって言って突き放したら、相手は怒って頬を思い切り叩いてきてこの有様だよ」
言われてみれば塑羅緒さんの頬が少し赤い。マスクはその腫れを隠すためにしていたようだ。
「それはお気の毒に……。痛そうですね……」

