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愛おしいキミに極甘な林檎を
第50章 pallidus memoriae*儚い恋と永久の愛



カップを置いた私は心配になって、腫れた頬に向かって手を伸ばそうとする。


でも途中で夫以外に向けてはいけない優しさだと気付いて手を下ろした。


家庭を持つ身としてこの対応は間違っていないのに胸が痛む……。



私が少しでも躊躇ったことを知られたのか塑羅緒さんは困ったように笑った。



「風子に彼女を作れって言われたけど、ひとりでいた方が楽かなって思った。実はひとりで過ごすのも好きなんだ」


「いらぬお節介でしたね……。すみませんでした。もう言いませんね」


「うん。そうして欲しい……」


塑羅緒さんがコーヒの方へ視線を落としてから私も残り少なくなったミルクティーを飲む。


びしょ濡れになった肌色のストッキングが少しずつ乾いていく。


元の状態に乾くまでいたかったけど子供のことを迎えに行かないといけないからバッグを手に取った。



「そろそろ帰らないと。今日はありがとうございました」



「ねえ、風子」


「はい?」


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