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愛おしいキミに極甘な林檎を
第50章 pallidus memoriae*儚い恋と永久の愛

暗くなった外はとても寒くて、子供に風邪を引かせてしまいそうだった。
夫婦仲を心配されたくなくて実家にも帰りづらくて行き場がなかった。
少し歩いてから家に戻ろう……。
こんな時にあの人が側にいてくれたら、嫌なことを話してスッキリできるだろうな……。
白くなる息を吐きながら歩いている時に心の奥でひっそりと想っている人が頭に浮かんでくる。
スマホを手に取ってその人とのメッセージ画面を開く。
でもただそれだけで、すぐに閉じてスマホを消して子供の顔を見た。
数十分ほど歩いて家に帰り、私から謝って夫とは仲直りをした。
それでもまだモヤモヤする。
仕事に行っている間は忘れることができたけど、帰り道にひとりになるとまた思い出して嫌な気持ちになる。
大体、どうしていつも私ばかり謝らないといけないんだろう……。
しばらく険しい顔をして歩いていたけど、向こうから手を振ってくる人を見てその表情が和らぐ。
「仕事お疲れ様。……これで偶然は三度目だね」

