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愛おしいキミに極甘な林檎を
第50章 pallidus memoriae*儚い恋と永久の愛

「じゃあ、どう言う意味の好き?」
しまっていた気持ちさえなくなっていればすぐに答えることができた。
どんどん胸が苦しくなるのは、心の奥から込み上げてくるものを必死に抑えているから。
楽になりたいのに、なれる道はない。
「私が困るって分かって言ってるでしょ……。察してくださいよ」
「俺も風子のことが好きだよ」
「…………」
目を見開いた後、心が揺れたことがバレないようにゆっくりと視線を上げると私に冷たく接する前の時の姿が見えた気がして涙が滲んでくる。
「どういう意味なのかも言わなくても気付いてるよね。……諦めようと思っても諦められなかったんだ。俺が好きになれる女はキミしかいないよ……」
その言葉で胸がいっぱいになり、妻と母親という役割を忘れて抑えていた感情が露になる。
「ワケが分からないです。そこまで好きなら…どうして――さんに私を頼んだんですか?婚約を破棄する必要なんてなかったはずです」

