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愛おしいキミに極甘な林檎を
第50章 pallidus memoriae*儚い恋と永久の愛

「今更そんな話をしてずるいです……。早くそのことを教えてくれていたら私……」
胸がいっぱいになり、塑羅緒さんの前で隠していた気持ちをつい漏らしてしまう。
でもこれ以上は心の中にしまっておくことであって言葉にしてはいけないと思って口篭る。
「私……の続きはなに?」
期待を向けるように優しい声色で聞かれた。
更に速くなる鼓動が冷静さを奪い、頭の回転までも鈍くする。
「えっと、それは……」
夫と子供がくれている平和で幸せな人生を真っ向から否定できない。
でも私が人生で最も愛している人は塑羅緒さんだ。
複雑な気持ちで困り果てた私はシャツを握っている手に力を入れ、唇を噛んで眉を落とした。
「そうか……。俺のところに来るまで待ってる。何年かかってもずっと、ずっと待ってるから……」

