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愛おしいキミに極甘な林檎を
第51章 偽りの恋人

「嘘はついてない。過去形で言ったはずだ」
「愛し合ったなんて言ったら誰でも誤解しますって。それにできているって言われた時に否定しなかったじゃないですか」
「あの場では乙羽のことを守りたかったから仕方がない。なんとかして止めなければあのままあの男に連れて行かれていただろう」
「その気持ちには感謝しますけど、私でもあんなことは言いませんよ。誤解されないような言い方だってあったはずです」
「思い浮かばなかった」
「いつも仕事では最善の提案をするじゃないですか。課長にできないはずがありません」
「ああ。だからオレには乙羽のようなしっかりとした部下が必要なんだ」
「はぁ……?褒めても何も変わりませんよ」
「乙羽だってオレを褒めてくれただろう」
沈黙の間ができることもなくスピーディーに続いていた言葉のキャッチボールが止まった。
肝心の内容から話がズレてきた気がして意味が分からなくなってきた。
仕事のことは衝突することなくスムーズに話が進むのに……。

