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愛おしいキミに極甘な林檎を
第51章 偽りの恋人

「塑羅緒くんじゃないか。最近、会えていなかったな」
歩き出した時に後ろからやって来た課長に声を掛けられてソラ先輩が足を止める。
なんてタイミングに来るんだ、っとまだ怒っている私は唇を固く結んでゆっくりと振り向く。
仕事が終わった後だから膨れっ面をしていても文句はないだろう。
「郁哉さん、こんばんは。久しぶりですね。……この前はありがとうございます」
一体何があってお礼を言ったのか分からない。だけど二人の仲は良好のようだった。
それでも私は課長を警戒するように、ソラ先輩の後ろに隠れてコートをぎゅっと握る。
今の課長は何を言うのか分からなくて非常に危険だ……。
よそよそしい態度を取っていることに気付いたのかソラ先輩は私の方を見た。
「お願いがあるんだけど、郁哉さんと少し話をさせて欲しいんだ。風子はそこのコンビニに入って待っていて」

