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愛おしいキミに極甘な林檎を
第51章 偽りの恋人

「この前ツリーの話をしていたし、クリスマスのことかな?」
話してもらうには、まずは自分から隠していることを素直に話すべきだ。
スマホをテーブルの上に置いてから私はソラ先輩の方を向いて頭を下げた。
「ごめんなさい……!火ノ浦さんと会って話してしまいました」
謝ってからすぐに返事は返って来なくて、どんな反応をされているのか怖くなりながらもゆっくりと顔を上げる。
眉間にしわを寄せて待っていると視線を下ろしていたソラ先輩がおもむろに口を開く。
「そうか……。風子は俺との約束をまた破ったんだね」
大好きな人にがっかりされるようなことをしてしまってズキッと胸が痛くなった。
「ごめんなさい。逃げたんですけど、追い掛けられてソラ先輩のことを教えてあげるって話し掛けられて。それで……」
「それで、なに?」
言葉に詰まってしまうと冷静な態度で先を催促される。
最後まで話を聞こうとしてくれているところは優しいけれど機嫌を悪くさせてしまっている気がした。
「課長が助けてくれたんです。でも私と課長が付き合ってるって誤解を招くようなことになってしまいまして」

