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愛おしいキミに極甘な林檎を
第51章 偽りの恋人

話している途中で、自分がしっかりと説明できているか分からなくなるほど困惑してきた。
「どうしてそんな風になるの?」
これ以上のことはソラ先輩のことを傷つけてしまうから言いたくない。
でも和らげられるような言い訳が思いつかなかった。
「守ってくれる時に…、抱き寄せられたから……です……」
本当は言いたくなくて太股の上に置いていた両手をぐっと握る。
「じゃあ、風子の浮気相手は郁哉さんなんだね」
「違います!本当は何もないです。ソラ先輩だって分かるでしょ?私は課長との婚姻届を破いて断ったんですよ……?」
感情に流されずに話し合いたいのに、自分が裏切ってしまっているようで悲しくなってくる。
傷つけてしまったソラ先輩の顔を見れなくて、握った手を見て唇を噛んでいることしかできなかった。
「それでも、俺がいなかったらやっぱり郁哉さんがいいんだね」

