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愛おしいキミに極甘な林檎を
第51章 偽りの恋人



眉を吊り上げてみてもまた涙が滲んできた。


ソラ先輩のことを傷付けてしまった自分の落ち度と、本当は課長のことを憎みたくない気持ちが混ざり合って心の中が混沌としていた。


ずずっと鼻をすすり、泣きそうなことがばれると課長は私を慰めようとして手を差し伸べようとしてくる。


でも今触れられたいのは別の人だから一歩後ろへ下がって避けた。



課長は慰める術がないことを知ったのか、困ったような顔をして私に頭を下げてくる。


「許さなくていいし、一生恨んでくれてもいい。乙羽のことを悲しませてしまった責任は最後まで取る」


朝から上司に頭を下げらせる部下。


会社でこの光景を見られたら尻に敷かれている上司だと思われてしまうだろう。


でも生憎そんな趣味はない。



「……塑羅緒くんとも約束したんだ」


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