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愛おしいキミに極甘な林檎を
第51章 偽りの恋人

課長のことも傷付けてばかりだと思うと、なんだかここまで怒るのが申し訳なくなってきた。
いつも優しくしてくれているのに……。
抱き寄せたことと、私が浮気をしているような発言をされたのは許せないけど、このまま怒っていても何も変わらない。
二人で壁際に立って行き交う人を眺めながら陸田さんを待つ。
隣にいる課長を見ると、同じタイミングで顔を向けられてドキッとした私はすぐに頭を下げる。
「……すみません!」
「いきなりどうした」
「怒りすぎたなって思いまして。いくら何でもこれは可愛くないなと……」
「いいや、怒られて当然のことをしてしまったから気にするな。会社の外だったらずっと不愛想にされていても文句は言わない」
「守ってくれたのには変わりないですから。私も今年は課長につらい思いをさせてしまったのでお相子ってことでどうでしょうか?」

