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愛おしいキミに極甘な林檎を
第55章 届かぬ愛の裏切り

本を置いてから柔らかな微笑みをした顔で見下ろして私の頭を撫でてくる。
陸田さんがいなくなって仕事の量も増えたし、潮崎さんと課長に挟まれて精神的にも落ち着けなかった。
でも飽きることのない整った男の顔を見ていると、頬が緩んできてそんな疲れも飛んでいってしまう。
付き合って長いと家族のようになると聞くけれど私は未だに恋をしている。
「ねえ、ソラ先輩。私たちっていつ出会ったんでしたっけ……?」
「何歳の何月までは具体的に覚えてないけど……。小さい頃かな。中学生の頃からはしっかり覚えてるけど」
「最初から同じ中学にいたわけではないんですよね?」
「風子が同じ学校に転校してきたのは俺が中学三年の二学期からかな。懐かしいね。
あの時も高校時代のように学校でよく一緒にいたんだよ」
「じゃあ、ソラ先輩と一緒にいて居心地がいいことを私はその頃から分かっていたんですね。我ながら目の付け所がいいと思います」

