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愛おしいキミに極甘な林檎を
第56章 あなたを愛しているから……

平然とした顔で答えると不愉快そうに眉を寄せて私の方を見てくる。
それはこの前、潮崎さんと話していて怒られた時と似ているような表情だった。
「振ったんだろうな……?」
「私が結婚する人はもう決まっているんですから。告白されたとしたら振るしかないですよね」
少し後ろにいた課長に並んで歩き、そっと肩を近づける。
でもその肩が当たる前に私がいない反対の方へと横にずれて避けられた。
「今日は積極的だな。……好きになってくれたのか?」
「私が一番に愛している人は彼氏ですから。郁哉さんがこの前に言った彼氏との約束をちゃんと守ってくれているのかなって思って試しただけです」
「口説いていい分、触れてはいけないと約束したことをオレから聞いたって塑羅緒くんに話したから試してみたんだろう?」
「話してませんよ。もちろん、郁哉さんが責任を取ってくれるって言った事も話してません」
「乙羽……。何も言わないつもりで塑羅緒くんの元を去るつもりなのか」

