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愛おしいキミに極甘な林檎を
第56章 あなたを愛しているから……

誰も近くを歩いていないところで私が足を止めると、課長も歩くのをやめてこちらを険しい顔で見てくる。
雪が止み、夜空には綺麗な星が輝いているのに私と課長の顔は浮かないまま。
きっと今の私たちは、他の人から勘違いされても幸せな恋人には見えないだろう。
「私はそうするのがベストなのかもしれません……。でも結納も済ませて婚約してますから、郁哉さんは私の彼氏と話し合いが必要ですね」
「ああ……。話し合わないといけないことは分かっている……」
少し俯いた課長に背を向けた私は話を続ける。
「婚約を破棄されたことのある郁哉さんは、どれほどそれが大変なことかも分かっていますよね。
いずれにせよ、彼氏のことを深く傷つけてしまうと思います。恨まれても仕方ありません」

