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愛おしいキミに極甘な林檎を
第57章 私は愛しい大魔王の小悪魔

首を傾けながら全く穢れていない純粋な瞳を向けてくるから困ってしまう。
しかも「ごはんは?」とか「おうちのまえまで」とか幼いなりに引き止めようとする。
最初はすぐに家に帰りたがっていたのに、ソラ先輩に懐いてからいつもこうだ。
「結菜ちゃん、おいで。おじちゃんがまた抱っこしてあげるから」
「うん」
時間ギリギリまで遊んでくれて、別れる時も優しく頭を撫でる。
まだ一緒にいたいとソラ先輩も結菜も寂しい笑顔を見せるから私も複雑だった。
「ソラ先輩は甘やかしすぎです」
「ごめん。可愛くてたまらないんだ」
たくさん遊んでもらった後、私とソラ先輩は結菜を間にして手を繋いで歩く。
三人で歩くその姿は、夢見ていた家族のようにも思えて私は小さく頬を緩めた。
「いつか三人で暮らしたいな」
橙色の光を放つ夕陽に照らされながら、私だけに聞こえるように願いを呟くソラ先輩。
その顔は強く印象に残るほど温かくて幸せそうだった。
夫の目を盗んで愛し合った先に待っていることがその笑顔のとおりだと言っているように……。

