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第58章 初恋の人

「えっ……」


両手で持って渡そうとしている私を見て何故なのか驚いた顔をしている。


他の女からもらったと思われるチョコの影がないから、今日はバレンタインデーということを忘れているんだろうか。



「本命チョコ、受け取ってください」


そんなところも可愛くてクスッと笑ってからそう言うと、ソラ先輩は微かな笑顔を浮かべて受け取ってくれた。


「……ありがとう。嬉しいよ」


今年渡したものはブランデーチョコ。

昨晩作っていたものはこれだった。


ちなみに那砂さんのアドバイスを活かして一つだけブランデーを大量に入れておいた。


念の為、常識の範囲内に留めたけど私が食べたら明らかに酔う量だ。


「今、食べていいかな？」


「いいですよ。食べてみてください」