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愛おしいキミに極甘な林檎を
第58章 初恋の人

自分に心当たりがあるからこそ意見を聞いてみたくなる。
おまけに潤んだ瞳をしていた郁哉さんの姿が脳裏に浮かんできた。
今となってはどうしようもできないことだけど……。
「俺は同情しないよ。はっきりと断る方がその人のためになると思うから」
冷たいのか、優しいのか分からない。
でも私と比べたらソラ先輩の方がずっと優しい。
はっきりと振ることができなくて相手を苦しめてしまう私よりも……。
「そういえば、引っ越しのことはどうしようか。この辺は知られていて危ないから、もう少し離れたところにする?」
酔ってきてもおかしくないのに、ソラ先輩は真面目な話をしながら五個目のチョコを食べる。
「その話ですけど……、私はまだここに住んでいたいです。会社に近いからというよりも部屋が気に入ってて……」
「じゃあ、ここに似たような部屋のある家でも建てようか?」

