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愛おしいキミに極甘な林檎を
第58章 初恋の人



甘いバレンタインデーにするにはソラ先輩より先に酔ってはいけない。


キスをしているうちに胸を揉まれ始めて、いつものようにその気になって流されてしまうところだった。



唇が離れて目が合った時、名残惜しくも私は立ち上がって冷蔵庫へ向かった。


冷たい缶を二つ取り出してから扉をパタンと閉めてソファへ戻る。



「チョコばかり食べて喉が乾きましたよね?ビールをどうぞ」


冷蔵庫の中に残っていた缶ビール。


理人さんがいつも飲んでいた銘柄と同じだから、泊まりに来た時に飲んだ余りなんだと思う。


ちなみに私が飲むはノンアルコールの酎ハイ。これなら酔わないから大丈夫だ。



「ありがとう。お茶じゃなくてお酒の方を持ってくるなんて珍しいね。
……チョコもお酒が多く入っていたものがあったし」


そう言われて心の中でギクッとした。


何か勘づき始めているソラ先輩はプルタブを開けてビールを飲む。


「あはは……、酔ってきましたかね?」


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