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愛おしいキミに極甘な林檎を
第59章 ふたりからひとつへ

「――――お待ちのお客様がいらっしゃいました」
椅子を後ろに引いて立ち上がろうとした時、ウエイターに声を掛けられてタイミングを逃してしまった。
廊下から足音が聞こえてきた後、開けられたドアの向こうに待っていた人たちの姿が見えた。
ソラ先輩が椅子から立って出迎えに行くようだったから私も急いで隣へ向かう。
格式の高いこの場に相応しい服装できたお婆さんと社さん……とソラ先輩のお爺さん。
大手企業のやり手の社長。
両親の年齢から考えて六十代か七十代くらいだと思われる。
老いを感じさせない立ち振る舞いと身づくろい、上品な渋さもありながらもその歳よりも若々しく思える。
でも息子である穏やかな叶斗さんとは違う威厳を感じた。
「お久しぶりです。本日は俺たちのために時間を割いてくださりありがとうございます」
頭を下げているのを見て私もソラ先輩に続いてお辞儀をする。
いつにも増して堅苦しく感じるのは、お爺さんがソラ先輩の会社の社長だからなんだろうか。
「お爺様、彼女が俺の婚約相手の風子さんです」

