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愛おしいキミに極甘な林檎を
第59章 ふたりからひとつへ

着席してから、初めて会ったお爺さんに名前と社長であることを簡単に自己紹介された。
あれほど自信を持ってとソラ先輩から言われたのに、自宅を出発した時よりも私はカチコチに固まる。
そうしているうちに料理が運ばれてきて、“食事”という更なる壁が立ちはだかった。
皿の左右に並んでいる三本のフォークとナイフ、一本のスプーン。
昼食を食べるだけなのに本数が必要以上にあって、食事の難易度を格段に上げてくる。
どれを使えばいいんだろう……。
代わりのない見た目から、綺麗なものを選んで使えっということなんだろうか。
本音を言うと日本人らしく箸を使って食べたい……。
失敗しないようにチラチラと横目で見て、ソラ先輩がどれを先に使うか探る。
レベルは高くても真似をして食事をすればこの場を乗り越えられる。
「塑羅くん、仕事は上手くいっているの?」
でもフォークの方へ手を伸ばした時、お婆さんが話し掛けてきてソラ先輩の動作が止まった。

