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愛おしいキミに極甘な林檎を
第59章 ふたりからひとつへ

私が知らないだけであって何もないわけではなかったようだ。
きっとソラ先輩とお手伝いの社さんも私に気を使って、東京に住んでいる家族が受けていた被害を黙っていたんだと思う。ご両親や昴くんも……。
両手に持っていたフォークとナイフを置いた私は、椅子を後ろに引いてから立ち上がってお爺さんとお婆さんに深く頭を下げた。
「その件はご迷惑をおかけしてしまい申し訳ございませんでした。すぐに謝罪に行くべきでした。……反省しています」
下を向いているからどんな目で見られているのかはっきりと見えないけど、一気に私に視線が集まっている感じた。
「頭を下げたくらいでうちの世間体が良くなるわけないでしょ!」
「風子、何も悪いことをしてないんだから頭を上げて座って。お婆様はいくらなんでも言い過ぎです」
「塑羅くんはこの子に甘過ぎます!この子のせいで婚約した塑羅くんまで情けないと酷いことを書かれたんだからもっと怒るべきよ!」
「…………」
「顔を上げてくれ、風子さん。今日はあなたに謝罪を求めに来たわけではない」

