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愛おしいキミに極甘な林檎を
第59章 ふたりからひとつへ



二人で個室へ戻ってもお爺さんとお婆さんの表情は何も変わらないままだった。


「少しは落ち着いたかしら?」


「はっ、はい」

皮肉にも取れる言葉を掛けられてから椅子に座って、急いで途中だった食事の続きをする。


席を立つ前は温かかったけど、戻った頃には冷めてしまっていた。


普段目にすることのない豪華な料理。状況が良ければもっと美味しいんだろう。



「風子さん、先程の条件に怯んだかね?」


「正直言うと驚きました」



「その条件に従うか、婚約を破棄するか塑羅緒と二人で決めて欲しい」


「俺はどちらも反対です。彼女を何だと思っているんですか」


「――――あの……、この条件をクリアすれば私は認めてもらえるんでしょうか?」



「無論。こちらの要望に応えられる人間であれば何も言うことはない。あまり時間を割いていられないから夜までに答えを出してもらおう」


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