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愛おしいキミに極甘な林檎を
第59章 ふたりからひとつへ



食事を終えて店を出てから、私とソラ先輩はしばらく黙って歩いていた。


お爺さんとお婆さんと離れても、顔色が曇ったままだから余程納得いかないんだと思う。



「ソラ先輩」


沈黙を破りたくて名前を呼ぶと、やっと自分の世界から戻ってきてくれて私の方に顔を向けた。


「どこか行きたいところでもある?帰りの時間までまだまだあるから買い物でもしようか?」



「それもいいですけど……、今はゆっくりできるところに行きたいです。……二人きりになりたいです」


わざと胸を押し当てながら腕に絡みつくと、どこに行きたいのか分かってもらえた。


せっかく都会に遊びに来たのだから色んなお店を見て回りたいところだけど、今は誰にも邪魔されない二人きりになれる場所に行きたかった。


カフェでも、漫画喫茶でも、カラオケでもない。


大人だからこそ行ける場所、……ラブホテルだ。


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