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愛おしいキミに極甘な林檎を
第59章 ふたりからひとつへ

歩いていた近くにあったから探す手間も省けた。
夜になるまであと六時間。他に用事もないからここで過ごすのもありだろう。
ラブホテルの部屋に行ってからお腹が鳴った私は、無料のウェルカムサービスでケーキとドリンクを頼んだ。
テーブルには二人分のケーキと飲み物が並んでいて、ここがセックスをする目的で行く場所だということを忘れてしまう。
「わぁー!いただきます」
一口サイズにフォークで切ってから食べると腔内いっぱいに糖分が多い甘さが広がる。
業務用のケーキでも美味しく感じるのは緊張から解放されたからなのかもしれない。
「ふっ、いつもの風子に戻ったね」
チーズケーキを頬張る私を見て、やっとソラ先輩にも普段の笑みが戻ってくる。
「緊張していて食べた気がしなかったんですよ。……ソラ先輩もでしょ?はい、あーんしてください」
私が食べさせようとすると、ソラ先輩は少し恥ずかしながらも食べてくれた。
「美味しい……」
「ですよね。フレンチは滅多に食べれないのでこの舌で挑みたかったです」
「……ねえ、風子は何を考えてお爺様にあんなことを聞いたんだい?」

