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愛おしいキミに極甘な林檎を
第60章 夢見ていたシアワセの未来

涙を拭い始める女友達を見ながら、私は唇を噛んで太腿の上に置いていた両手で拳を作った。
周囲から会話が聞こえてきて、店内放送の音楽も耳に入ってくるほど私たちは静かになる。
運ばれてきた美味しそうな料理は、女友達に真実を教えられる前からテーブルの上に置いてあったからもう冷えていると思う。
結婚する報告をして、いつものように仕事の愚痴や女ならではの話をして、楽しい食事になると思ったのに……。
目を閉じて小さく深呼吸した私は、心を決めてこの沈黙を破ることにした。
「……そうだね。私もちょっと許せないや」
「えっ……」
本当のことを話すと女友達はぼろぼろと涙を流して取り出したハンカチで顔を隠すように拭いていた。
「ごめんねっ……、風子……、ごめんなさいっ……。うううっ、許してください……」
そんな姿を見て私も少し泣きそうになったけど、ぐっと堪えながら女友達の肩をぽんぽんっと叩いてにっこりと笑った。

