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愛おしいキミに極甘な林檎を
第60章 夢見ていたシアワセの未来




見ていても起きる気配がないから、耳元に近づいてそっと優しい声を掛けてみた。


すると重たそうな瞼をゆっくりと開けて私の方を見てくる。


「ん……、風子。おはよう……。起こしてくれてありがとう……」



ぼんやりとしている姿を見てニヤニヤとしていると、ぐいっと手を引かれて布団の中へと連れ込まれた。


まだ寒い朝、ソラ先輩の体温によって暖まった布団の中は部屋よりもぽかぽかする。



「朝ご飯、できてるけど……」


「可愛い……。ずっとこうしていたい」


後ろから私のお腹に手を当てて放さないように抱きしめて髪の匂いを嗅いだり、私の温もりを堪能しているようだった。



「嬉しいけど、早くしないと遅刻しちゃう…よ……?」



「待って……。あと三分だけだから」


三分だけと言っても時計の針はあっという間に進んでいく。


私もずっとこうしていたい。


仕事をしている時はこの三分が長いのに、ソラ先輩といるとその三分があっという間に過ぎていく……。



もっとこの温もりに浸っていたいと名残惜しく思いながらも、三分経った後に私は布団から出た。


「ほら、ソラも起きて」


「昨日の夜からそう呼んでくれているけど、……前のように呼んでくれるの?」


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