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愛おしいキミに極甘な林檎を
第60章 夢見ていたシアワセの未来

ほんの少し曲がっていたネクタイを直してあげると、体を寄せられてから口付けをされた。
「いってきます」
どうやら急いでいても行ってらっしゃいのキスは欠かせないみたいだ。
しかも、幸せそうな笑顔まで見せてきてずるい……。
玄関のドアが閉まった後、唇に残った僅かな熱と昨晩したセックスを思い出したせいで頬が熱くなっている。
大好きが止まらない……。
この気持ちをソラ先輩にどうやって伝えれば分かってもらえるんだろう。
バレンタインデーはもう終わったし、誕生日までまだある。
何か機会があったらいいのにな……。
温かい気持ちに浸りながら私も支度をして会社へと向かう。
今日は昨日の書類の作成の続きをして、午後からは不備がないかのチェックと会議の準備をするように言われていた気がする。
慣れたものだから楽勝だ。
それがひとりだったらの話だけど……。
「乙羽、菊さんが手を離せないようだから潮崎と一緒に資料室の整理をやってくれ」
心の中でそう思いながら仕事をしていると、早速気が重くなるような役割がやってきた。
「課長……。おれは風子と仕事をしたくありません」

