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愛おしいキミに極甘な林檎を
第61章 真実の愛と花嫁の決意



「雪原くんに声を掛けた時に話したかったことだよ。俺は雪原くんから約束された地位を奪おうだなんて思っていなかったし、社長になるつもりもなかった。

平社員のままでも風子と人並みの暮らしができればそれでいいんだ。

だから俺じゃなくてきみが上にいくように掛け合ったりもできた。

雪原くんは会社で初めてできた後輩だったから……、話し合って穏便に解決したかった」


話していたのは、塑羅緒さんならきっとそう言うだろうと私も思っていたこと。



新くんに直接伝えることができて良かった……。


安心した途端、シャツを掴むも抜けていってどんどん暗闇の中に吸い込まれていく。



「っ…、後になればなんとでも言えます……!」


「そうだけど、話したかったことはこれだから。でも雪原くんに何もできなくなってしまって残念だよ……」



最後まで二人の会話を聞いていたかったけど、そこまでしか聞くことができなかった。


眠るように目を閉じた後に待っていたのは不思議な光景だった。


一切怖いものはなくて、この場にいるだけで優しい空気に包まれている。


ここは天国とも言えるかもしれない。



見えていたものは、それほど温かくて幸せな場所だった。


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