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愛おしいキミに極甘な林檎を
第61章 真実の愛と花嫁の決意

「目を覚ましたら、何も覚えていなかったんです……。
日付を見たら数ヶ月も時間が過ぎていて、残っている記憶もおかしくて……。
何があって自分が病院にいるのかも分かりませんでした……」
「でも名前を覚えている人もいたよね?理人さんや郁哉さんのことは覚えていたみたいだけど」
「殆どスマホを見て覚えたことです。トーク画面の履歴や写真を見ていたらどんな話をしていたのか分かりましたから」
「そうだったんだ……」
「だけど、ソラ先輩のことは忘れてないです。最も信頼できる人で、大切な恋人だって……!」
「…………」
一番大事なところは忘れていないことを告げたのに、ソラ先輩はどうしてなのか寂しそうな目をしている。
変なことを言ってしまったのか不安になって焦ってしまう。
「また忘れてしまってごめんなさい。私、前にも記憶をなくしたことがありましたよね……。
いっぱい迷惑を掛けてしまっていますから、今すぐ大事な記憶を思い出すように努力します……!
今晩寝ないで過去の記憶を取り戻せるようにたくさん、たくさん考えます。全部思い出せるように頑張りますから……」
話しているうちに胸が苦しいことに我慢できなくなり、声が震えて涙が溢れ落ちた。
「いっぱい頑張りますから……、私を……捨てないで……」

