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愛おしいキミに極甘な林檎を
第61章 真実の愛と花嫁の決意



思い出せなくても私もソラ先輩から離れたくない気持ちが溢れてくる。

だからその言葉が何よりの安定剤だった。




それから数日経ってから私は退院した。


記憶を取り戻す薬はないから何も思い出せないまま。


頭痛を抑える薬など処方されて、また後日通院することになった。


それでもまだ体に何が起こるか分からない状態で、二週間は安静にしているように医師から告げられた。



「塑羅緒くん、おかえり。晩ご飯できてるわよ~」


そんなこともあってソラ先輩が仕事に行っている間、乙羽家の母が来て家事をしたり私の面倒を見てくれることになった。


「すみません。お弁当まで作ってもらっちゃって……」


「うふふ、頼っていいのよ~。今は塑羅緒くんもうちの息子みたいなものなんだから遠慮しないで」


でもどうして母とソラ先輩は家族みたいに仲良くなっているんだろう。


「ベッドの上でひとりでご飯を食べるのも寂しいし、風子ちゃんと一緒に食べてあげて」


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